豊田市みつご虐待死事件について
先日、とても悲しいニュースが入ってきました。
社会福祉士として、そして一人の双子母として考えをまとめてみました。
「三つ子の育児、背負い込んだ母 泣く子を投げ落とした夜 (朝日新聞デジタル) – LINEアカウントメディア」
https://lin.ee/hOlhVsk?utm_sou
亡くなった次男ちゃんのことを考えると、「なぜボクはこんな怖いおもいをして、死ななければならなかったのだろう」と思っているかもしれません。
「双子や三つ子は、育てるのが大変」ということで生存権が脅かされることは、全く違う話です。
だから、このお母さんは人を殺めてしまった罪に問われることには変わりないでしょう。
わたしは決して、「大変な状況だったから無罪だ」と訴えているのではありません。
ただ、この罪を償う方法は、実刑で服役することだけなのかと、心がざわざわします。
なぜ執行猶予付きにならなかったのだろうと思いました。
お母さんが残された2人の子どもを「愛情をかけること」ができる環境で育て、
大変な時は周囲にキチンと支援をしてもらいながら、
もう自分と同じようなお母さんを生み出さないように生きていくことではないでしょうか。
反省するためにこれまで以上に孤立したり、もっと一人で頑張ることは違うのではないだろうか。
もうこのお母さんはひとりで十分戦ってきたのだから。
控訴審で執行猶予がつくことを願っています。
行政対応はどうだったのか
虐待は決して許されることではありません。
立て続けに報道される虐待死事件。
ただ、野田市10才女児の虐待となにがちがうのか考えてほしい。
豊田市のみつごのお母さんは、出産前から子育ての不安を市に相談していましたが、
紙の情報を渡されただけで、人が介入する支援にはつながっていません。
また、出産後に自宅訪問した保健師にも、大変な状況を訴えています。
ここでは、ファミサポの窓口へ手続きにくるようにアドバイスをされましたが
エレベーターのない自宅から、乳児3人をつれてでかけれることは難しく利用することはなったとのことでした。
判決では「無抵抗、無防備な被害者を(中略)危険性が高く悪質」
「行政などの対応が(被告への)非難の程度を軽減できる事情があったとも認められない」と指摘したとのことです。
このお母さんは、自分ができることは手を尽くしたとおもいます。
いまの日本で、これ以上の方法はあまり見当たらないのが実情です。
行政窓口へいき、専門家として派遣される保健師へ相談をした。
その結果、いま以上の支援がないことを知る。
だったら、ひとりでがんばるしかないのだとおもってしまうことでしょう。
子どもを生み育てることは、自己責任なのでしょうか。
不妊治療をして多胎児が生まれることは、想定した結果なのだから自己責任だという理解のない言葉も耳にすることがあります。
1人の子どもを育てることも、双子や三つ子を育てることも、母一人が自己責任として引受けることはできません。
紙面では、夫や実家も頼れなかったと書かれていましたね。
すぎてしまった時間ですが、心がいたみます。
今回のケースでの最大のエラーは、単胎育児と同じような支援しか得られなかったこと
支援側が単胎育児と多胎育児の違いを理解していなかったことが、悲しい事件につながったのではないか。
どうしても、そのような考えに至ってしまいます。
想像の域で発言することは危険ですが、もしかしたら、対応した保健師もどう対処してよいのかわからなかったのかもしれません。
「ルール重視や公平性がもとめられる立場」が、個人として感じる心や思考を邪魔したのかもしれません。
だから、今回の事件は一人のお母さんや保健師一人の責任にはできないのではないだろうか。
目の前でいま大変な状況にある人がいれば、役割を超えてでも動ける方法を早急に考えなくてはなりません。
役割のルールにしばられ、自分たちが担っている本来の意味を見失う事は本末転倒だとおもいます。
いま大変な状況にある当事者には情報が届いていないことを知ること
いま、嵐の真っ只中にいる人は、スマホをみてる時間はありません。
LINEですら開けるヒマはないでしょう。
子どもが成長する写真ですら取り忘れるのですから。
わたし自身も、自分の活動に責任を感じています。
これからも、ふたごじてんしゃという「ツール」で双子や多胎アンテナにひっかかった方へ、「多胎育児の大変さ」を伝えていこうと思っています。
保健師さんや行政担当、看護師、医師、近所のおじさおばさん、ママ友に実父母に義父母
周囲を見渡したら双子やみつごちゃんっているとおもいます。
その方たちが、監視ではなくあたたかいまなざしで、でも大変そうかなとおもったら、
まずは連絡をとってもらえるよう活動を続けていこうとおもいます。
わたしには、熱い心と冷静な頭脳をもった多くの仲間がいます。
わたしが直接何かできる事は少ないのですが、あなたが困っていることを一緒に考えることができる仲間がいます。
だから、聞ける場所がなければわたしへ連絡をしてください。繋いでいきます。