ふたごじてんしゃの願い

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ごあいさつ

ふたごじてんしゃ代表の中原美智子です。
2010年、第2・3子で双子を出産しました。

2人目育児だというのに戸惑う事ばかりで、外との繋がりもどんどんなくなり、双子育児に追われていたような気がします。初めて参加した双子サークルはあまり馴染めず、「双子サークルは私には向かないんだ」とますます引きこもる様になりました。

サークルに参加しなくても、長男の時のように児童館や公園へ出掛ける事をおもいつき、手軽に移動できる自転車に乗りたいと考えるようになった2011年の夏。 一般的な2輪の子ども乗せ自転車が怖くて、双子を安心して乗せられる自転車を探し始めました。しかし、双子ベビーカーはあっても、双子が乗せられる自転車は国内では手に入らないということ。あちこちへかけあい相談もしましたが、双子が乗せられる自転車を製品化してくれそうなところは見つかりませんでした。そこで諦めきれなかった私は「無いのなら自分で作ろう!」と気持ちを切り替え、自転車を自ら企画して、今度は製造メーカーを探し始めました。

それから2014年の夏、念願の試作1号機が完成しました。
私はこの1台のおかげで、自転車を支え続ける体力も気力も不要になり、行動範囲が広がり、自由な気持ちになれ、当たり前の事ですが自分で行きたいところを決めてお出かけができるようになりました。

だから、今度は同じ悩みを持つママへ「ふたごじてんしゃを届けて、自由を楽しんでもらいたい」という気持ちから、個人で製品化を目指して活動してきました。これまでの活動内容は、自転車の移動で不便を感じている人の顕在化と、協力メーカーを募ること。自転車の開発、製造、検証と検査は、個人で活動するにはとてもハードルが高く、協力メーカーを見つける事は不可欠でした。

「3輪で幼児2人が乗せられる」という新しいカタチのふたごじてんしゃ。
このカタチがスタンダードになることも、みんなが乗れるようになることだって信じていたものの、試行錯誤を繰り返しながら迎えた6年目、 ようやく協力メーカーがみつかり、協同してふたごじてんしゃの製品化を目指すことがきまりました。

さて、HPのトップでもお知らせしていますが、ふたごじてんしゃは「自転車屋さん」ではありません。双子を育てていく中で感じた、疎外感、ひきこもり、閉そく感にマイノリティ。心だけでなく行動までも制限する移動問題。これらに真っ向から立ち向かおうとした結果、まずは「ふたごじてんしゃ」をカタチにすることを目指してきました。どうか、移動ができない不便をあなどらないで欲しいと思います。

双子育児は制約が多く、多忙で孤独になりがちです。
やっとの思いで出産したにもかかわらず、子どもに対して愛情を注ぐことより日々の世話に追われ、かわいささえ分からないような状況へ追い込まれがちです。外へ気晴らしに出かけたくても、「出かけない選択」の方が楽なのは、多胎育児ならではの悩みでもあります。出掛ける手間や労力を考えたら、ひきこもる方がマシ。すると益々鬱々としてしまい、子育てが辛くなってしまうような負のスパイラルに陥ってしまうこともしばしば。せめてここで、気持ちを切り替えサクッと手軽にお出掛けができる手段があれば、心が楽になるのではないでしょうか?2輪の自転車だと倒れてしまうのが怖くて乗れなくても、3輪だったらチャレンジできるかもしれない。 外と繋がる事で、ママの孤独感が和らぐかもしれない。

「双子がいたって、フツーに風をきって自転車に乗れるんだ」
とても些細な事かもしれないけれど、私たちにとってどれほどの喜びでしょう。「ふたごじてんしゃ」が自らの力で子育てをしているママのお手伝いできるのなら、これほどうれしいことはありません。でもね、ふたごじてんしゃは自転車を完成させることが最終目標ではないんですよ。安心してお出掛けできる「場所」が欲しいという気持ちにも寄り添いたい。誰かと繋がっていてほしい。誰もが、色々あっても子育ては楽しいと!と思える環境であってほしい。子育てが幸福感で包まれていてほしい。そう願ってやみません。

あなたが子育てをする環境を整えるためのお手伝いがしたい。
だから、ふたごじてんしゃは自転車屋さんじゃないんです。

もうすぐです。
もうすぐで、自転車移動で困っているあなたへお届けできます。まずは双子ママの自由を、お出掛けをサポートできる日がきます。そして、ふたごじてんしゃはこれから先も「私も自由にお出掛けしたいのですが、どうしたらいいのでしょうか?」の声に寄り添っていきたいと思います。

これからも「ふたごじてんしゃ」の活動に応援とご協力、どうぞよろしくお願いします。

ふたごじてんしゃ代表
中原美智子

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アセスメント販売®とは

-傷害情報を製品改善につなげる新しい販売活動-

2019年1月、NPO法人Safe Kids Japanの第4回子どもの傷害予防リーダー養成講座で㈱ふたごじてんしゃ中原美智子さんの話を聞く機会があった。双子のお子さんを自転車に乗せて街を走りたいという強い思いから「ふたごじてんしゃ®」を開発されたお話を聞いた。その時、自転車のデザインを変えたことと、モノの売り方を変えたことを話された。これまで「売り方」について話を聞いたことはなく、関心を持って聞いた。商品を購入する前に、購入希望の人にアセスメントをしてもらい、それを修了した人だけに販売すること、そして購入後にはフォローアップを行って、そのデータを製品の改善につなげるという新しい売り方で、「アセスメント販売®」という言葉で提案されている。傷害予防の面から、今後、商品を販売する一形態として定着していく必要があると私は思っている。中原さんにお願いして、アセスメント販売についての紹介文をいただいたので以下に紹介する。

アセスメント販売®を導入するまでの経緯

ふたごじてんしゃ®(以降、「ふたごじてんしゃ」)の製品化を目指し始めたころから、アセスメント販売®(以降、「アセスメント販売」)という漠然としたイメージを持っていました。わたしは、ふたごじてんしゃというひとつの乗り物によって、子どもたちとのお出かけができるようになり、幸福感や自己肯定感が増し、QOLが向上したと実感しました。そこから、ふたごじてんしゃを必要としてくれる人がきっといるはずだ、と思い立ち、進んできました。しかしながら、このふたごじてんしゃが万能な乗り物ではないということもわかっていました。
SNSで活動の発信や試乗会の開催をすることで、購入希望者との接点を多く持ってきました。SNSでのメッセージや試乗会での会話で、「わたしも双子だから、ふたごじてんしゃが欲しい」「後ろが3輪だから絶対こけないから安全」という声を多くいただきます。正直、とても危険なキーワードです。「絶対に転倒しない自転車」はこの世に存在しないし、双子という接点だけで、必ずしもその人に最適な乗り物ではないからです。

アセスメント販売として取り組んでいること

  1. 動画による取扱説明および「願い(理念)」の共有
  2. アセスメントによる購入(希望)者とのコミュニケーション
  3. 「購入しない」という選択肢があることを伝える

1.動画による取扱説明および「願い(理念)」の共有⇒購入(希望)者もチームの一員に

製品を正しく伝えるための適切な手段として取扱説明書が思いつきました。ただ、製品特徴や使用上の注意といった従来の要素だけではなく、より利用者目線の何かが必要だと感じました。そこで、利用シーンを想定した動画を作成し、製品の特徴+利用シーンを組み合わせ、注意すべき点をより具体的に伝えられるように工夫しました。さらに、「なぜこの自転車が生まれたか」という原点を理解してもらうべく、“ふたごじてんしゃの願い”という動画も公開し、製品完成に至るまでの経緯も伝え、購入(希望)者もはじめからこのプロジェクトに参加しているように思ってもらい、チームの一員として製品フィードバックが言いやすい環境を作り、必要とする人にとっての製品改善につなげたいという狙いがあります。

2. アセスメントによる購入(希望)者とのコミュニケーション⇒製品理解の確認

取扱説明(紙/動画)において、特に伝えるべきポイントは、購入前に必ず理解してもらわなければならないと考え、メーカーや販売店舗の協力も得て、アセスメントを修了した方のみが購入できる仕組みを構築しました。
下記のようなヒアリング項目を購入希望者にヒアリングをし、回答内容に応じたアセスメント結果(全11ページ)およびアセスメント修了証の発行を行っています。購入希望者は、修了証に記載されたアセスメント修了証No.を販売店舗に持って行って、はじめて購入申込みができます。

購入前のヒアリング項目

  • 購入希望者の思い描く期待やイメージ(利用シーン・活用による幸福感)を自由記述
  • 使用環境(歩道/車道/坂道など、駐輪環境)の該当項目を選択
  • 交通ルール(道路交通法)の理解と確認

購入後のヒアリング項目

(いずれも自由記述で回答)

  • 購入前と購入後でイメージのギャップはあったか
  • 嬉しかったことはなにか
  • 製品の不満はあるか
  • 自転車移動以外で困ったことはあるか

3. 「購入しない」という選択肢があることを伝える⇒たくさんの笑顔を作る

アセスメントの結果、ふたごじてんしゃをおすすめしない方もいます。その場合は、「購入しない」という選択肢があることをしっかりと伝えます。伝えたうえで、代替手段をできる限り一緒に考えます。大切なことは、ふたごじてんしゃの販売台数・売上金額が伸びることではなく、購入者の笑顔が増えることです。「購入した」という選択に後悔してほしくない、だからこそ真正面から購入希望者と向き合い、リスクを伝えることも重要なことだと信じています。

モノの売り方を変えていくため、アセスメント販売を広げていきたい

将来的には、より多くの企業や製品で、このアセスメント販売という手法が採用されるようにしたいです。まだうまくまとめられませんが、「チャレンジしやすい環境」「モノや想いを消費しない」「無責任でいない」「批判ではなく、みんなの愛で育てるモノ」という言葉が頭の中にあります。

今後、想いをこめた新しいモノを大切に売り・育てたいと願っている個人や企業へ、アセスメント販売をデザインするお手伝いがしたいと考えています。アセスメント販売を導入すると、「使う人を思いやる優しい気持ち」を伝えながらモノを売ることができます。また、その気持ちを正しく受け取り、モノへの愛着も醸成できます。その良い関係性が、社会全体で良い循環を作りだし、持続可能な社会の実現に結びつくと思います。

2019年1月31日
株式会社ふたごじてんしゃ
代表取締役・社会福祉士 中原美智子

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